便秘は身体にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
便秘が引き金となって起こる病気や症状についてご紹介します。
「便秘は万病のもと」と言われるように、便秘がひどくなると、さまざまな病気や症状を引き起こすことがあります。
例えば、便そのものが障害となって起こる病気に、次のようなものがあります。
腸閉塞とは、腸が何らかの原因で詰まってしまう状態を言いますが、便秘が悪化すると「糞便性イレウス」になる可能性があります。頻度は少ないものの、場合によっては命にかかわることもあるので注意しましょう。
無理に排便しようとして、硬い便で肛門を切ってしまうと「切れ痔(裂肛)」に、力んで肛門に負担をかけてしまうと「イボ痔(痔核)」になる可能性があります。
腸壁は非常に薄く、そこをたくさんの血管が走行し栄養しています。便が滞ると腸壁を圧排してしまい、血管の血流障害を起こして「虚血性腸炎」になることがあります。突然激しい腹痛や血便で発症します。
一方で、便秘の裏に深刻な病気が隠れていたというケースもあります。(参考リンク:便秘とは)
たかが便秘とあなどらず、適切に対処することが大切です。
お腹の張り(腹部膨満感)や腹痛だけではない意外な症状も、じつは便秘が原因となっている場合があります。
大腸に便が長時間残っていると便の腐敗が進み、有害物質を発生します。この有害物質が血流にのって全身にいきわたることで、また有害物質を排出しようとすることで、次のような症状があらわれます。
女性なら特に気になるニオイのトラブル。血液中の有害物質が、皮膚または呼気により排出されると体臭や口臭となります。
便秘になるとさまざまなお肌の不調があらわれます。詳しくは、「便秘と美容の関連性」をご覧ください。
肝臓で栄養素の代謝・吸収をする際に使用されるエネルギーが、血液中の有害物質を取り除くことに浪費されてしまうため、身体の基礎代謝を低下させます。
腸の働きのひとつに、腸管免疫と言う体外から細菌やウイルスを侵入させないようにする仕組みがあります。しかし、悪玉菌が増加し腸内環境が悪化すると、この腸管免疫が機能しなくなるため免疫力が低下し、感染症にかかり易くなってしまいます。
監修:福澤麻理 先生(ふくざわまり先生)
西新宿きさらぎクリニック副院長。
東京医科大学を卒業後、同病院消化器内科、内視鏡センターを経て現職。
便秘外来を受け持ち、女性の便秘事情にも精通している。